
おふくろに泣かれました。
「いつ子どもを作るのか?」
そう言って、涙を見せたボクの母でした。
ボクは結婚しても、子どもを作っていません。
両親にしてみれば、
一日も早く孫の顔が見たいのだろうけど、
ボクの気持ちに、そんな意欲がないから、
いくら待ったって、できやしません。
だから、母からのそんな詰問にはいつも、
しどろもどろになってしまうのです。
「家のことをどう考えているのか?」
母は、そう言いました。
「この家をおまえの代で途絶えさすのか?」
畳みかけるように言いました。
母にとって、永劫不朽に家は続かなくてはなりません。
それが使命でもあるかのように、強い気持ちを持っています。
「お前のような人間がいれば、国が滅びる」
母は言葉を続けました。
日本の若者たちが、子どもをつくることを放棄すれば、
確かにこの国は消滅するでしょう。
生返事を繰り返してばかりいたボクに対し、
最後に母は言いました。
それは切り札のような言葉でした。
「お前が死んでから、Akiちゃん(ボクの嫁)は20年生きるよ」
ボクはAkiよりも少しばかり年が上で、
男性の寿命よりも女性の寿命のほうが長いのだから、
あながち母の指摘はまちがいではありません。
「お前が死んでからの20年間、Akiちゃんを誰が守るの?」
ボクが死んだあとのAkiの人生。
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ホンマに、心に刺さるような言葉を見つけてくるおふくろです。
ボクの弱点を知り尽くしているのは、さすがです。

