「あんたが、あのバラの花を、
とてもたいせつに思ってるのはね、
そのバラのために、
ひまつぶししたからだよ」

 
................(kitsune)
「星の王子さま」の中で、キツネが王子に言うせりふです。
覚えてますか?
この童話、読まれたことありますか?

王子さまの星に、ある日、
どこかから飛んできた種が芽をふきました。
そうして美しい一輪の花を咲かせました。
王子さまがそれまで見たことのないきれいな花。
その花はわがままでした。
でも王子さまは、その花が好きだったから、
この世で一本切りの花だと思ったから、
一所懸命世話をしました。
ある時、王子さまは花にお別れを言って、旅に出ます。
そしてその途中で地球に降り立ち、
自分の星にあるあの花が、
実はなんてことない、ただのバラの花だったことを知ります。
王子さまは悲しくなりました。
辛い気持ちで一杯になりました。

「ぼくは、この世に、たった一つという、
めずらしい花を持ってるつもりだった。
ところが、じつは、あたりまえのバラの花を、
一つ持ってるきりだった」

沈み込んでいるところへ、王子さまはキツネと出会います。
そして、教わるのです。

「あんたが、
あんたのバラの花をとても大切に思ってるのはね、
そのバラの花のために、ひまつぶしをしたからだよ」


「ひまつぶし」
あなたは今、このページに目を通して、
ひまつぶし してくれてます。
あなたにとって、これを書いてるボクと、
そんなつながりが出来ています。

この地球上に、何十億もの人間が住んでいて、
おそらくそのほとんどの人は、
自分の一生の中で出会うことのない人たち。
名前も顔も、職業も性格も知らない、無縁の人たち。
そんな数え切れないくらいたくさんの人の中で、
あなたとボクは、こうして間接的にでもつながっている。
これ、奇跡ですよね。
たとえば電車で隣りに座った人。
ピンポーン! って呼び鈴が鳴って、
新聞の集金屋さんだった。
病院に行って、注射を打ってもらった看護婦さん。
みんなみんな、偶然です。
ほんの少し前には、
一生出会うことがなかったかもしれない人たちです。
でも出会った瞬間から、
例え少しの時間だけでも、気になる人に変わる。

「ひまつぶし」をする前には、
何十億の人たちの中のひとりにすぎなかったボクが、
今はあなたの中でちがってる。
バラ園の中に咲き乱れる、何千、何万本の内の一本から、
自分の星にたった一本しか咲いていない大切なバラの花に
ボクはあなたの中で、存在を変化させた。

いろんな人と、ひまつぶししましょう。
中には嫌いな、自分と合わない人も何人かいるでしょう。
でも、その嫌いなその人は、
何十億のだれかじゃない。
あなたの中で、ちゃんと存在感のある人なんです。

「だれかが、なん百万もの星のどれかに咲いている、
たった一輪の花がすきだったら、
その人は、そのたくさんの星をながめるだけで、
しあわせになれるんだ。
そして、<ぼくのすきな花が、どこかにある>
と思っているんだ」

ボクにとって、
今このページを読んでくれてるあなたは
かけがえのない人。
ボクのところでひまつぶししてくれた、大切な人。
あなたがこの世界にいると思えるから、
しあわせな気分になることができる。


----蛇足--------------------------------
bbsでnoriさんが、「星の王子さま」のこと書いてたから、
じゃあ、ここに取り上げようと思ったんです。
ボクは、ゆとりが出来たら、
みんなでいろんな本や映画や、音楽も人も、ゲームも犬も猫も、
場所も、形も、靴や服や、キッチン道具だって、
勝手気ままな批評が出来たら楽しいな と考えてます。
お酒で酔っぱらった時みたいに、
聞いてる人が逃げ出したくなるくらいにしつこく、
語り合えたらいいなあと、
いえ、ボクひとりがあれやこれや言い出して、
それを遺して死んで行くのもいいかな とか。
誰にだって、思い入れってあるでしょ。
贔屓にしてるタレントがいたり、
お気に入りのブランドがあったり、
それが個性です。それぞれの色や匂いを醸し出す光です。
「星の王子さま」
実は、その時まで取っておこうと思ってました。
でも、いつになるやらわからないし、
もしもそんな時が来たんなら、また同じようなこと書くでしょう。


 ...........................................................(2000.9.14)