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何が面白くて駝鳥を飼ふのだ。 動物園の四坪半のぬかるみの中では、 足が大股過ぎるぢゃないか。 頚があんまり長過ぎるぢゃないか。 雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるぢゃないか。 腹がへるから堅パンも食ふだらうが、 駝鳥の眼は遠くばかりを見てゐるぢゃないか。 身も世もないように燃えてゐるぢゃないか。 瑠璃色の風が今にも吹いてくるのを待ちかまへてゐるぢゃないか。 あの小さな素朴な顔が無辺大の夢で逆まいてゐるぢゃないか。 これはもう駝鳥ぢゃないぢゃないか。 人間よ、 もう止せ、こんな事は。 |
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国語の授業なら、解釈もいろいろあるようだけど、 ストレートに受け取りたい。 実験動物のことで、 りかさんがいろいろ書いてくれた。 また ボクは 考える。 食べることと 人の病気を治すために 動物に毒薬を投与することと ボクの中で 同じにならない。 殺すという その結果は同じでも、 ボクの中では 同じにならない。 動物園や水族館も ボクの心の中で引っかかっている。 人が楽しみたいから 狭い檻の中に閉じこめてしまうこと さ、これが許されるんだろうか? もしも もしもと、問う。 もしもあなたが「実験動物」だったとしたら、 もしも自分が「動物園の駝鳥」だとしたら、 もう止せ、こんな事は。 |
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